波動関数の高さは確率ではない:同じ幅で4.863%と38.710%

化学
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長さ1.20 nmの箱に閉じ込められた粒子が、端の0〜0.24 nmと中央の0.48〜0.72 nmで見つかる確率は、それぞれ何%でしょうか。波動関数の空間部分をψ(x)=A sin(πx/L)と与え、Aは全体の確率が1になるように決めます。

この状態では、端が約4.863%、中央が約38.710%です。同じ幅でも密度が一様ではないため、確率が異なります。波動関数を絶対値二乗して密度にし、区間の面積を計算します。

問題の与件
一次元の箱:0 < x < L、長さL = 1.20 nm。箱の外と両端のψは0。
空間部分:ψ(x) = A sin(πx/L)。全体の確率を1に規格化し、Aは正に選ぶ。
端の区間:0〜0.24 nm。中央の区間:0.48〜0.72 nm。どちらも幅0.24 nm。
求める量:Aと、二つの区間での位置測定の確率。
ペンタとイコールが学習机で、波動関数と確率を考える場面。
同じ幅の二つの区間を選び、確率密度の下の面積を比べます。

1.求める量は区間の確率。密度を幅にわたって足す

一次元の箱0<x<Lで、L = 1.20 nm、波動関数の空間部分をψ(x) = A sin(πx/L)と与えます。箱の外では0、両端x = 0、Lでも0です。Aは振幅を調整する係数です。xとLをともにnmで表すので、sinの中のπx/Lには単位がありません。

位置の確率密度をρ(x) = |ψ(x)|²と書きます。密度は「単位長さあたり」の量で、xをnmで扱う今回はnm⁻¹です。したがってψとAの単位はnm−1/2。密度へ幅dxのnmを掛けて積分すると、単位が消えて確率になります。

波動関数ψ:ψ = A sin(πx/L)
単位nm−1/2、二乗する前の確率振幅。

確率密度ρ:ρ = |ψ|²
単位nm−1、単位長さあたりの密度。

区間の確率P:P(a,b) = ∫ab ρ(x) dx
密度nm−1とdxのnmで単位が消える。下の面積が0〜1の無次元の値。

求めるのは高さ一点ではなく、指定した幅にわたる確率です。このρは区間内で変わるので、ρに区間幅を掛ける長方形の近似より、積分で密度を足す式を選びます。

2.箱全体の面積を1へ規格化し、Aを決める

箱のどこかに粒子が見つかる確率を1とします。この規格化によって、波の高さを調整するAが決まります。sin²(πx/L)= {1−cos(2πx/L)}/2を使うと、0からLでcosの積分が0となり、sin²の積分はL/2です。したがって、Aの絶対値二乗にこのL/2を掛けたものを1にします。

1 = ∫0L |ψ(x)|² dx
= |A|² ∫0L sin²(πx/L)dx = |A|² L/2
|A|² = 2/L
ここではAを正に選び、A = √(2/L)
= √(2/1.20) nm−1/2 ≈ 1.291 nm−1/2
共通x0〜1.20nmで上ψ最大1.291nm−1/2、下密度最大1.667nm−1。別単位の縦軸を明示、中央x.6で最大。
図1 横軸は両方とも同じ位置x。上はψ、下はその絶対値二乗ρで、縦軸の単位が違います。中央の密度約1.667 nm⁻¹は、確率166.7%ではありません。確率を得るには、下の曲線の区間面積を求めます。
ペンタ

中央のψは約1.291。これを129.1%という確率にすればよい?

イコール

ψにはnmのマイナス1/2乗という単位があるので、その値を百分率にはできません。まず絶対値二乗を取り、単位長さあたりの確率密度へ直します。

ペンタ

二乗しても中央の密度は約1.667。1を超えて大丈夫なの?

イコール

密度の単位はnmのマイナス1乗で、まだ区間の確率ではありません。密度に幅のnmを掛けて積分した面積が無次元の確率になります。全区間の面積が1で、一部の面積は0から1に収まります。

3.端点をx/Lへ直し、二つの面積を計算する

比べる区間は、端の0〜L/5 = 0〜0.24 nmと、中央の2L/5〜3L/5 = 0.48〜0.72 nmです。どちらも幅L/5 = 0.24 nm。確率は幅だけでなく、その区間にある密度を積み重ねた面積で決まります。

ρ =(2/L)sin²(πx/L)を積分します。sin²z =(1−cos 2z)/2を使えば、ρ =(1/L){1−cos(2πx/L)}となり、原始関数はx/L−sin(2πx/L)/(2π)です。u = x/Lと置くと、端点を長さの割合として計算できます。

P(a,b) = ∫ab ρ(x) dx = F(b/L)−F(a/L)
F(u) = u−sin(2πu)/(2π)
端:P(0,L/5) = F(0.2)−F(0) ≈ 0.04863(4.863%)
中央:P(2L/5,3L/5) = F(0.6)−F(0.4)
≈ 0.38710(38.710%)
物理的な位置を、箱の長さの割合へ直す
端:a/L = 0/1.20 = 0、b/L = 0.24/1.20 = 0.2。
中央:a/L = 0.48/1.20 = 0.4、b/L = 0.72/1.20 = 0.6。
同じnmどうしを割るので、u = x/Lには単位がない。

F(0) = 0。
F(0.2) = 0.2 − sin(0.4π)/(2π) ≈ 0.0486347。
F(0.4) = 0.3064510716…、F(0.6) = 0.6935489284…。
端:0.0486347 − 0。
中央:0.6935489284… − 0.3064510716… ≈ 0.3870979。
密度曲線の端0–.24nmと中央.48–.72nmを同じ幅で着色。面積端.04863、中央.38710、全域積分1。
図2 色のついた区間は同じ幅ですが、中央は高い密度が続くので面積が大きくなります。左端では密度が0から立ち上がるため、面積は小さくなります。曲線の高さ一点を比べるのではなく、各色の領域全体を読みます。
全体規格化A²L/2=1と単位の消去、u=x/LとFによる端点差、区間P端.04863中央.38710全体1。
図3 最初に全体の面積を1へ規格化し、同じ密度の式で二つの区間を積分します。Fの上端と下端の差は、長さをLで割った無次元の数です。全体ではF(1)−F(0) = 1に戻ります。
ペンタ

両方の幅は箱の5分の1だから、確率もどちらも20%ではないの?

イコール

密度が一定なら幅の割合と確率の割合は一致します。ただし、この密度は場所によって違います。端は約4.863%、中央は約38.710%で、同じ幅でも面積が違います。

ペンタ

では、一番高いx = 0.60 nmぴったりの一点に見つかる確率が大きいの?

イコール

高いのはその点の密度です。この連続分布で幅0の一点だけを積分すれば確率は0です。中心の周りに幅を持つ区間なら面積があるので、見つかる確率を計算できます。測定の位置分解能に対応する幅も、密度とは分けて考えましょう。

主問の答え
A = √(2/1.20) ≈ 1.291 nm−1/2。
端0〜0.24 nm:P ≈ 0.0486347 → 約4.863%。
中央0.48〜0.72 nm:P ≈ 0.3870979 → 約38.710%。
Pは無次元。密度の区間積分が終わってから、100を掛けて百分率へ直す。

4.単位をmへ替えても、同じ区間の確率に戻る

狭い区間で密度がほとんど変わらなければ、P ≈ ρ×幅という長方形の面積で近似できます。しかし今回の端では密度が大きく変わるため、一点の高さへ幅を掛けるだけの方法を正確な答えとしません。一般には密度を区間全体で積分します。

この状態では箱の外に密度がなく、全体の確率は箱の中の積分1です。密度の単位をm⁻¹へ替えると値の数字は変わりますが、同じ物理的区間を正しく積分した確率は変わりません。百分率にするのは、単位が消えたPを100倍した後です。

単位を替える検算
L = 1.20×10−9 m。
端の上端:0.24×10−9 m。b/L = 0.2のまま。
中央:a/L = (0.48×10−9)/(1.20×10−9) = 0.4、b/L = 0.6。
同じFの端点差なので、確率は再び4.863%と38.710%。
全区間ならF(1)−F(0) = 1。
もう一歩:Aの符号と波動関数全体の位相

Aを正にするのは波動関数全体の位相の選び方です。全体を−ψへ替えても|−ψ|² = |ψ|²なので位置の確率は同じです。この話は「全体に同じ位相を掛ける」場合に限ります。重ね合わせた成分同士の相対位相まで、確率に無関係とするわけではありません。

5.演習:五区間に分けて全体の1を検算する

同じL = 1.20 nmと規格化したψで、左側の内側の区間L/5〜2L/5、つまり0.24〜0.48 nmの確率を求めてください。解いた値を使い、箱を幅L/5の五区間へ分けた確率の和が1に戻ることも確かめてください。

解答 P = F(0.4)−F(0.2) ≈ 0.25782(25.782%)。密度はx = L/2について左右対称なので、右端の区間は左端と同じ、右側の内側も左側の内側と同じです。左から順に約0.04863、0.25782、0.38710、0.25782、0.04863となり、和は丸めた表示でも1.00000。計算には丸める前の値を使い、全体の規格化と一致することを確認できます。

参考資料

OpenStax University Physics Vol.3 §7.1:確率密度、区間積分、規格化と絶対値二乗

OpenStax University Physics Vol.3 §7.4:箱の境界条件と規格化したsin波動関数

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