エネルギーが3.00 eVと8.00 eVの二つの正規直交する固有状態から、ψ=(1/2)φ1+(√3/2)φ2を準備しました。一回の測定で各値を得る確率と、エネルギーの期待値を求めましょう。求めた期待値は、一回の測定でも出る値でしょうか。
φ1のエネルギーE1=3.00 eV、φ2のE2=8.00 eV
正規直交する二状態に対し、c1=1/2、c2=√3/2。理想的なエネルギー測定を考えます。
確率は25.0%と75.0%、期待値は6.75 eVです。一回の結果は3.00 eVか8.00 eVです。係数の絶対値二乗で確率を求め、その確率を重みに使って平均を計算します。最後に、同じ状態を四回準備したときの標本平均との違いも数値で確かめます。

1.展開係数から、各測定結果の確率へ戻す
φ1はE1 = 3.00 eV、φ2はE2 = 8.00 eVというエネルギーが確定した固有状態とします。二つは正規直交しており、それぞれの規格化が1、互いの重なりを表す内積が0です。今回は次の状態ψを準備し、理想的なエネルギー測定を行います。
展開係数 c1 = 1/2、c2 = √3/2
c1とc2は、二つの固有状態をどれだけ重ねるかを表す振幅の係数です。係数の値をそのまま測定確率とするのではなく、絶対値二乗を取ります。正規直交するエネルギー固有状態を使う場合、Eiを得る確率はPi = |ci|²です。
P2 = |√3/2|² = 3/4 = 0.750(75.0%)
P1+P2 = 1

正規直交だから、ψの規格化も|c1|²+|c2|² = 1で確認できます。二つの状態の重なりが0でない場合には、この係数の二乗を単純に確率として並べる方法をそのまま使いません。今回は与えた正規直交条件の下で計算します。
2.期待値は、確率で重みを付けた平均
一回の理想的な測定で得るのは、状態に含まれる固有値3.00 eVまたは8.00 eVです。期待値⟨E⟩は、この二つの値へ各確率を掛けて足した値。8.00 eVの方が起こる確率が大きいので、単純な中点(3+8)/2 = 5.50 eVより8側へ寄ります。
同じψを各回に準備して測ると、二つの結果には25%と75%という異なる重みがあります。それぞれのエネルギーにその重みを掛けて足す式を選ぶのは、この分布の平均を求めたいからです。確率は無次元なので、確率×eVを足した結果の単位もeVです。
=(1/4)×3.00 eV+(3/4)×8.00 eV
= 0.75 eV+6.00 eV = 6.75 eV

逆算して確かめましょう。二つの候補が3.00 eVと8.00 eVだけなら、8.00 eVの確率をP2、3.00 eVの確率を1−P2と書けます。期待値は3.00 eVから、候補間の差5.00 eVのうちP2だけ8側へ進んだ位置です。
= 3.00 eV+P2×5.00 eV
P2 = (6.75−3.00) eV / (8.00−3.00) eV = 0.750
P1 = 1−0.750 = 0.250
eV/eVは消えて無次元の確率へ戻り、係数から求めた25.0%・75.0%と一致します。6.75 eVは3.00 eVと8.00 eVの間にあり、8側へ寄ることも確認できます。この逆算は、測定候補がこの二値に限られる条件を使っています。
ペンタ平均が6.75 eVなら、一回測れば6.75が出るの?
イコールこの状態の理想的なエネルギー測定では、出る値は3か8です。6.75はその二つを25%と75%で重み付けした期待値で、測定候補の固有値ではありません。
ペンタ3と8の中点5.50でもないのは、8が出やすいからなんだね?
イコールそうです。二つを半分ずつなら5.50ですが、今回は8を得る確率が3倍です。3×0.25+8×0.75で6.75になります。確率が平均をどちらへ寄せるかを見ましょう。
3.同じ状態を各回に準備して、測定を繰り返す
25%/75%という分布を繰り返し測定の頻度と比べるには、毎回、元の同じ状態ψを準備し直すことが必要です。各回の測定を独立に行う条件で考えます。最初の測定後の状態を、そのまま次の回の出発状態として使う操作とは違います。
例えば最初に3.00 eVを得た理想測定の直後、状態はその結果に対応するφ1です。状態を変えず同じエネルギーを直ちに測り直すなら、3.00 eVという同じ結果を得ます。元の重ね合わせψの確率25%/75%を、新しく試したことにはなりません。
ペンタ同じ粒子を続けて測れば、3と8が25対75で現れる?
イコール測定直後の状態をそのまま使うと、元のψからの独立な試行にはなりません。最初に3を得たなら対応する固有状態で、状態を変えない直後の再測定も3になります。
ペンタ25%と75%を確かめたいなら、一回ごとに最初のψを準備し直すんだね?
イコールそうです。毎回同じψを準備し、独立に測定して結果を集めます。その結果の頻度と平均を、ψが与える確率と期待値へ比べます。
4.四回の標本平均が6.75 eVになる確率は?
四回測れば必ず一回が3、三回が8になる、という意味ではありません。四回の実際の結果を足して四で割る標本平均は、その回に起きた内訳で変わります。図では、同じψを各回に準備した場合に起こり得る内訳をいくつか示します。

この四回で8.00 eVを得た回数をjとすると、3.00 eVは4−j回です。標本平均は{3.00×(4−j)+8.00×j}/4=3.00+1.25j eVなので、6.75 eVになるのはj=3の場合です。
8が三回、3が一回という特定の並びの確率は(3/4)3×(1/4)=27/256です。3が出る位置は一回目から四回目まで四通りあるので、標本平均が6.75 eVになる確率はその四倍になります。
= 108/256 = 0.421875 ≈ 42.2%

一回で6.75 eVを得る確率は0、四回の標本平均が6.75 eVになる確率は約42.2%です。平均の値が同じでも、どの測定・どの平均を問うかで答えが変わります。独立に同じψを多数回準備すれば標本平均は期待値へ近づく傾向があります。期待値は状態が定める分布の平均、標本平均は集めた結果の平均です。
5.自分で確かめる:係数を入れ替えて符号を変えたら
同じ正規直交状態φ1(3.00 eV)とφ2(8.00 eV)を使い、別の状態ψ′ =(√3/2)φ1−(1/2)φ2を準備します。①二つの測定確率、②期待値、③一回の測定で得る値を求めてください。④係数の−符号によって負の確率になるか、説明してください。
解答 ①P1 = |√3/2|² = 3/4、P2 = |−1/2|² = 1/4。和は1です。②⟨E⟩ = 3.00×0.75+8.00×0.25 = 4.25 eV。③一回の候補は3.00 eVと8.00 eVで、4.25 eVではありません。④絶対値二乗を取るため確率は負になりません。今回はエネルギー測定についての答えで、成分の相対的な符号がどの測定にも無関係だとは一般化しません。
参考資料
MIT OpenCourseWare 5.61, Lecture 12:PDF pp.3–6、測定の固有値、正規直交展開、係数の絶対値二乗と期待値


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