【詳しく解説】反応速度とは「化学・解説」

化学
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反応物が減るグラフは、右下がりです。それなら「反応が進む速さ」も負なのでしょうか。今回は、減った濃度と経過時間を読み、消費速度を正の数で求めます。反応式の係数が違うときの比まで、具体的な数で確かめましょう。

反応速度とは:何の変化を、何秒で割る?

反応の速さは、反応によって物質の量が単位時間にどれだけ変わるかで表します。まずは、体積が一定の均一な溶液で、物質の出入りがなく、ここで示す反応だけによって濃度が変わる場合を考えます。この条件なら、反応物の減少や生成物の増加を、濃度の変化から読めます。

[A]はAの濃度で、単位はmol/L。Δは後の値−前の値を意味します。二つの時刻の差Δtを秒(s)で表せば、Δ[A]/Δtの単位はmol/(L s)、つまり「1秒に1 L当たり何mol変わるか」です。

問題:20秒から30秒の平均消費速度を求める

上の条件で、仮想反応A → Bを考えます。20秒で[A]=0.0640 mol/L、30秒で[A]=0.0490 mol/Lです。この10秒間のAの濃度変化率と、正の数で表した消費速度を求めてください。

ペンタとイコールが二つの時刻の濃度を比べる場面
二つの時刻の濃度を比べる場面です。次の図では20秒と30秒を結ぶ線から、この10秒間の平均変化率を求めます。
20秒の濃度0.0640と30秒の濃度0.0490を結ぶ線。差を10秒で割ると−0.00150mol/(L s)。
20秒と30秒の二点を結ぶ線の傾きが、この10秒間の平均変化率です。曲線はこの数値例を表す模型で、実測データではありません。

1.濃度の変化率は負、消費速度は正

Δは必ず「後−前」で計算します。時間は30−20=10秒です。濃度は減っているので、変化量は負になります。

Δ[A]= 0.0490−0.0640 = −0.0150 mol/L
Δt = 30−20 = 10 s
Δ[A]/Δt = (−0.0150 mol/L)/(10 s)
= −0.00150 mol/(L s)

これは「濃度の変化率」です。Aをどれだけ消費したかを正の数で表す消費速度では、前に−を付けます。

Aの平均消費速度 = −Δ[A]/Δt
= −(−0.00150)
= +0.00150 mol/(L s)

平均すると、1秒に1 L当たり0.00150 molのAが減った、という意味です。10秒分に戻すと、0.00150 mol/(L s)×10 s=0.0150 mol/L。これを元の濃度から引けば、0.0640−0.0150=0.0490 mol/Lとなり、30秒の値に戻ります。

ペンタ

下がるグラフだから、反応速度もマイナスなの?

イコール

濃度の変化率Δ[A]/Δtは負です。消費した速さを正で表すなら、その前に−を付け、−Δ[A]/Δt=+0.00150 mol/(L s)とします。平均すると1秒に1 L当たり0.00150 mol減った、という意味です。

ペンタ

20秒ちょうどの速さも、その値?

イコール

この値は20秒から30秒までの平均です。一瞬の速さは、その時刻の近くを短い区間で調べ、グラフの接線の傾きから読みます。この二点の値だけでは20秒ちょうどの速さは決まりません。

同じA → Bだけで変化するなら、Aが0.0150 mol/L減る間に、Bは0.0150 mol/L増えます。係数が1対1なので、Aの消費速度−Δ[A]/Δtと、Bの生成速度+Δ[B]/Δtは同じ値です。符号を付ける前の濃度変化率は、一方が負、他方が正です。

2.係数2対1なら、物質ごとの速さは同じ?

次は、係数が違う別の仮想反応2A → Bです。同じく体積一定の均一な溶液で、出入りやほかの反応はなく、この反応式の比でAが減りBが増えるとします。0秒で[A]=0.0300、[B]=0.00500 mol/L、10秒で[A]=0.0240、[B]=0.00800 mol/Lです。

Aの消費速度
= −(0.0240−0.0300)/10
= 0.000600 mol/(L s)

Bの生成速度
= +(0.00800−0.00500)/10
= 0.000300 mol/(L s)

Aは二つ分使われてBが一つ分できるので、Aの消費速度はBの生成速度の2倍です。ここで「同じ反応の進み具合」を一つの速度vにそろえるには、それぞれの物質の消費・生成速度を、その物質の係数で割ります。

v = (Aの消費速度)/2
= 0.000600/2
= 0.000300 mol/(L s)

v = (Bの生成速度)/1
= 0.000300/1
= 0.000300 mol/(L s)

2AからBでA消費0.000600とB生成0.000300mol/(L s)。各係数2と1で割り共通v0.000300にそろえる。
同じ10秒間の変化を、AとBの両方から計算しています。物質ごとの速度は2倍違いますが、係数で割ると共通の平均反応速度vへそろいます。
ペンタ

Aから求めると0.000600、Bからだと0.000300。どちらが反応の速さ?

イコール

物質ごとの消費・生成速度としては両方正しい値です。反応式を2A → Bと書いたときの共通の反応速度vは、Aの消費速度を2で割って、Bの生成速度を1で割ります。どちらからも0.000300 mol/(L s)です。

ペンタ

vからAの減った量へ戻すときも、2で割るの?

イコール

戻すときは係数2を掛けます。Aの消費速度は2v=0.000600 mol/(L s)。10秒を掛けると0.00600 mol/L減ります。Bは1vなので0.00300 mol/L増え、どちらも最初のデータへ戻ります。

3.固体を含む反応では、物質量の比を読む

炭酸水素ナトリウムの固体の分解にも、反応式の係数を使えます。ただし、ここでは濃度変化の比ではなく、この反応で消費・生成した物質量の比を読みます。

2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2

NaHCO3が2 mol変化すると、Na2CO3、H2O、CO2がそれぞれ1 mol生成します。左右でNaは2、Hは2、Cは2、Oは6個分にそろい、電荷も0です。

炭酸水素ナトリウム2mol消費、炭酸ナトリウム、水、二酸化炭素は各1mol生成。物質量2対1対1対1。
図が比べるのは、この反応で変わった物質量です。同じ時間で割れば、消費・生成の物質量速度(mol/s)の比も2:1:1:1です。

固体や気体など異なる相を含むので、固体と気体の濃度を同じ溶液体積で割った量として比べることはできません。前節の濃度速度式は、体積一定の均一な溶液の条件を使った式でした。係数が示す物質量の関係と、濃度を使う条件を分けて考えましょう。

4.反応を速くする条件は、何に効く?

反応物の濃度

反応物同士の衝突で進む反応では、濃度を大きくすると単位体積当たりの粒子が増え、衝突の機会が増えます。ただし、反応速度が濃度にどう依存するかは反応ごとの速度式で確認します。濃度を増やしても速度が変わらない場合などもあり、全ての反応に同じ増減を仮定するものではありません。

前節で使った反応式の係数は、消費・生成する量の比を表します。濃度を2倍にしたら速度も2倍になる、という規則を係数から決めることはできません。

温度

温度を上げると粒子の平均的な運動エネルギーが大きくなります。正の活性化エネルギーをもつ一般的な反応では、反応に必要なエネルギーをもつ粒子の割合が増え、反応速度が大きくなります。温度の影響を、衝突する回数の変化だけで説明するものではありません。

触媒

触媒は、より低いエネルギー障壁を越える別の反応経路を与え、反応を速めます。反応の途中では関わっても、全体の反応では再び戻り、総括すると消費されません。同じ温度では平衡定数を変えるのではなく、平衡に達するまでの速さを変えます。

理解確認:2A → Bの速さをそろえる

前節と同じ体積一定の均一な溶液で、2A → Bだけが進むとします。Aの平均消費速度が0.000800 mol/(L s)なら、共通の平均反応速度vと、Bの平均生成速度はそれぞれいくらでしょうか。10秒間の変化量へ戻して確認してください。

答えと確かめ方

v=0.000800/2=0.000400 mol/(L s)。Bの係数は1なので、Bの生成速度は1v=0.000400 mol/(L s)です。10秒間にはAが0.00800 mol/L減り、Bが0.00400 mol/L増えます。消費・生成の変化量の比も2対1に戻ります。

まとめ

体積一定の均一な溶液で、出入りがなく反応だけで濃度が変わるとき、濃度変化を経過時間で割って平均変化率を求めます。反応物の変化率は負なので、消費速度を正で表すには−を付けます。20秒から30秒の例では、平均消費速度は0.00150 mol/(L s)でした。

物質ごとの消費・生成速度を反応式の係数で割れば、同じ反応の速度vへそろいます。2A → BではAの消費速度がBの生成速度の2倍です。固体分解では物質量の比を読み、均一溶液の濃度式をそのまま当てはめないようにしましょう。

参考資料

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